昔の話シリーズです。

しばらくの爆笑ののち、ようやく笑いが収まった私が、友人たちが出て行ったドアを見ると、私と、ドアの中間地点に、コロリと何か黒いものが転がっています。

よく見てみると、高めのヒールの靴です。


あれは・・Aちゃんの靴・・。
あわてて逃げたため、脱げたようです。
じゃ、Aちゃん、今、片方は裸足で、片方はヒールで・・・あのダッシュ・・・
っていうか、だいぶ手前から、片方だけ裸足で・・・

また爆笑してしまいました。

お腹がよじれるほど笑って、笑いが収まりかけた頃、自分は忙しいのだということを思い出して、まだ休み時間中ですが、再び仕事を始めました。

Aちゃんは、再び戻ってくるだろうということは分かっていました。
なにしろ、靴を忘れているのですから。

私は、笑っていて逃げなかったので、
Aちゃんたちは
『さっきはビビリ過ぎちゃった。テヘ。』
くらいの感じで戻ってくると思っていました。
しかも、もうすぐ休み時間は終わりますので、もう来てもいい頃です。

・・・・

私の予想に反して、そのまま休み時間は終わり、絶叫シンデレラAちゃんの靴がポツンと取り残されていました。
Aちゃんに靴を持って行ってあげないとな。
そう思いつつ、キリのいいところまでと仕事を進めていると、ガラス扉の方からゴソゴソと物音が聞こえました。

あ。きっとAちゃんだ。
何やら、小声で話している声も聞こえます。
ドアを見つめていると、AちゃんとBちゃんが、トーテムポールのように、ドアの隙間から顔を出しました。


「え・・・何してるの?」

私が言うと、二人は、再び雄叫びを上げました。

Aちゃん「み・・・未依ちゃん、大丈夫だった?」

未依「なにが?」

Aちゃん「だから、さっきの・・・」

未依「ああ、大丈夫。」

Bちゃん「未依ちゃん、なんで逃げなかったの?!」

未依「え、仕事あるし・・?」

友人二人は、まだビビっているようです。

Bちゃん「さっき、私たち・・・」

友人たちが、先ほどのことを話し始めました。



(続く)